ドキュメンタリー・宝塚2002

第19回宝塚国際室内合唱コンクールの3日間をドキュメンタリー風にまとめてみました。

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7月27日(土)
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7月27日(土)
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7月27日(土)
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7月27日(土)
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7月28日(日)宝塚最終日 入賞団体演奏会の日
一夜明け、しーちゃんとバーバラちゃん、しらゆきさんたちは、金メダルがチョコレートではなく、本物だったことを確認して、受賞を実感。
9時50分からべガホールでのステージリハーサルなので、少々遅めの朝食。今朝も朝風呂に入ってリラックスしたもの多数。ビジネスホテルじゃ、こうは行きません。(笑)
神々の黄昏は、遂に午前中の練習場所の確保に成功。まずは一安心。
ノリのよい3人娘(?)→
←落ち着いたミドル(失礼!)3人。何やら後ろの連中は、このアングルでもポーズを。
こちらは若者とその後見人のグループ→

←今日も暑い中、かちにて宝塚駅まで参ります。 あふみの佐渡裕氏とふーちゃんより、もうホールに着いたと電話あり。「みんな酔いつぶれて寝坊してるんかと思うた。」
二人は昨日のリベンジを果たしたようだ。(笑)

←阪急に乗り込みました。あぁ涼し〜 →

ホールに着くと、あふみの佐渡裕氏とふーちゃんが。二人は結果を電話で聞いただけなので、昨日の状況を皆が色々教える。金メダルも手渡した。
財団の大塚さんに導かれて、ホールでリハーサル。よく考えると、このリハを含めて3度ステージで歌えることになる。このホールで歌うことが目標だった私たち。何たる贅沢だろう。客席では、雨森先生がにこやかな笑顔で聴いて下さり、拍手までいただいた。先生方との新たな交流のきっかけを得たのも、大きな収穫だ。
ステージリハが終了すると、練習場のソリオに戻るために、もう一度宝塚駅に戻る。審査員講評も同じフロアのソリオホールで行われるため、便利がいい。ソリオに行くとまいさんの札があり、同じように練習されているようであった。宝塚常連のところは、この辺のところも手馴れたものだな、と感心しきり。
和室を借りたので、練習はリラックスムードで始まる。そのうちに、審査員講評の時間となり、髪々の黄昏としーちゃんはソリオホールに向かう。この後、練習は、個人的な厳しいものになったとか、ならなかったとか・・・(笑)。
審査員講評は、審査員9人の先生方を、各団2名の代表者が5分ずつぐるぐる巡ってお話を伺うもの。指揮者のいないあふみにとっては、軌道修正のための貴重な情報源となる。でも、先生方にとっては、3時間付き合わなくてはならず、大変な重労働。お疲れ様でした。そして、暖かいお言葉をありがとうございました。
審査員講評概要

【洲脇光一先生】

バードはもうひとつ。調性が高かったのでは?低い方が絶対きれい。バードは何度やっても難しいね。響きが鳴っていなかったとも言える。バランスの悪さが目立つ。アルトとテナーのバランスがこれからの研究問題。ソプラノは音程をシャープに。
「鳥の歌」は良い。伸びやかに歌えて、自分たちのものに出来ていて流れが良い。こちらがプラス点で、バードがマイナス点。鳥の歌の時は声が自然に出ているが、バードのときには、それがない。バードの時に指揮者があった方が良いと感じた。牽制しあっている感じ。団の方針もあるが・・・。
【浦山弘三先生】

バードは安定感があった。「鳥の歌」の時、言葉の切れが十分でない。言葉はあまり強く出さないで、音のキレを良くすること。スピード感は積極性があって良い。自由に歌っているが、お互いに反応し合うことがない。ちょっとは振りの意図もプラスすれば面白い。ただ、演出くさいのはだめ。楽しめた。
【日下部吉彦先生】

マドリガルやシャンソンといったものを、お互い顔を見合わせながらコミニュケーションを取りながら歌うのは大切で大賛成。この曲は、真面目くさって歌われるのはいやだが、その意味でもよかった。バードはソプラノの一人の声が目立つ。この曲はホモフォニックな曲なので、一人一人の声が目立つのは良くない。ジャヌカンなんかは、それが逆にいいのだが。長浜という街は好き。頑張って。
【J.Y.チャン先生】

Wonderfulと思います。特にフランス語の方がブレンドも良く、様式感も、すごく良かった。もし言う事があるとすれば・・・、最初の15小節はイントロダクションなので、そんなに強調せず、16小節目から本当のメロディーと歌詞が出る感じで演奏すべき。リピートパートも同様。110小節目からは第2部で、それまでよりは、もっとリズミカルな感じが出る効果を出す。メロディラインというより通り過ぎる感じで。また1部と同様のことがcoquのあたりから始まって、真ん中のパートはのフレーズは1部と2部の中間のような感じで。イントロ、2部、3部が最もリズミカルなパートで、4部が結論ですので、もっと区別をつけたら効果的な演奏になる。Very Good!
【A.レスラー先生】

両方ともルネサンスだが、凄く差があって、興味深いレパートリー。バードは、ルネサンスでも違う作品にすれば良かった。だけど、鳥の歌については、すばらしかったの一言。テンポも正確で、言葉もすごく良かった。言葉の色とかが。終わった後、こう。(拍手のポポーズ)。発音もリズムもいい。Alle sehr gut.
【林達次先生】

人数はもうちょっと多い方がいい。いいものをやろうとすると予備軍が倍いる。12人では、1人休んだらまずい。2人休んだらお手上げ。アマチュアは数が必要。さぁ、というときに人数を限って。これからは、いろんなものが落ち着いている地方都市の方が良いと思う。「素直で好感」の持てる団。これからは声楽の基礎を練習の最初10分でもいいからやること。コールユーブンゲンでも、コンコーネ50番でも。体を全部使ったわっ、という声が出せることが必要。それからすこしずつ削っていって。頑張ってください。
【礒山雅先生】

最も印象に残ったもののひとつ。圧巻。もうひとつの圧巻は、「琵琶湖周航の歌」。ソルフェージュが完璧。ただ、バードはかなり問題。ラテン語の言葉の彫りの深さが浅い。掘り下げられていない。言葉を一つ一つ生かすことで自然と音楽の陰影ができる。少し薄っぺらな、冴えないといった感じ。それだけに「鳥の歌」になったときに落差が大きく、エンジン全開に。ドイツの先生が1位、韓国人の先生が2位、私が3位をつけた。生き生きとした音楽を外国人の先生は求められる。一番日本の合唱に欠けがちな、指揮者の言う事をきいてやることはできるが、自発性に欠けるという点で、この団は自発性が一番いいところなので伸ばしていくこと。ただ、声楽的な技量、声の響きに欠ける面があるので、その基礎レベルが一段高くなると、鬼に金棒。頑張ってください。
【松下耕先生】

バードですね。最初の出だし、pって書いてありますけど、精神的には確信に満ちた力強さをもって出てほしかった。この曲、全体に声が出しきれていない。静と動の部分の使い分けが余り出来ていない。表層的で、元気ないわ、と思っていたら、2曲目で違う合唱団になった。こうも違うのかって。「鳥の歌」があれだけ歌えるなら、バードも歌って欲しかった。「鳥の歌」にケチをつけるとしたら、ポリフォニーのバランス。アルトが弱い。発声練習も男声・女声別けるだけでもだいぶ変わるので試してみて。積極的だったし、楽しかったし、良かった。「鳥の歌」勝ち!バードも楽しくね。
【長谷川冴子先生】

バード全部指揮やらなくていい。見てて邪魔だから、歌ってる方はもっと邪魔なはず。もっと簡易な指示を技術として身につけること。出だしが惜しい。ソプラノとバスがしっかり出れば、第3音第5音は少々遅れてもおかしくない。怖くなくアンサンブルできる。「ミゼレーレ」を何故「ミゼリーレ」というのか?ローマカソリック教会の発音にあわせて。大阪弁は駄目、世界の宝の曲だから。この曲に力がついて来れば・・・。2曲目はアンサンブルがとても上手く出来た。アンサンブルの妙味をもっと追求。イントネーション、発音を立ち上げることによって、エクスプレッションになる、という方向からも攻めてみたら?頭で考えてやるより、楽譜に忠実にやって違ったアプローチを。頑張って。
時間は12時を大きく過ぎ、13時からの入賞団体演奏会のため、べガホールへ急ぐ。
1.大阪府立清水谷高校合唱部 今年の宝塚は、高校生のの活躍が目覚しかったが、ここはその最右翼。詫磨先生のもと、鍛え上げられた技術と無理のない発声に感心。
2.PRO MUSICA VIVA この2団共、雨森文也先生を指揮者に戴いている合唱団。雨森先生自らもカウンターでアルトに加わったり、指揮をされたりと、室内合唱の楽しさを味わうことが出来た。
3.合唱団まい
ここで、あふみのメンバーは準備のため客席を後にした。インチョン女性文化センター合唱団の演奏は、街角コンサートを聴いたのみとなってしまい、残念。
着替えた後、声出しする時間があったので、ちょっと調整。ESTの向井先生と、もともとっちさんにも恥ずかしながら聴いていただく。
この間、ステージでは、

4.仁川女性文化センター合唱団

の演奏。
5.あふみヴォーカルアンサンブル まず、洲脇先生のインタビュー。「年齢の幅が広いようですが…」の問いに、佐渡裕氏「20歳代を中心に…(笑)」それって、クリスマスコンサートでも使ったネタだってば・・・(笑)
竹田の出だしでの混乱も笑いを誘って、和やかな雰囲気に。(と思っているのは自分たちだけ?)
演奏は、昨日よりものびのびやれたかな。その分ヒヤヒヤしたところもあったが…。前の方の客席で、雨森先生と一緒にPRO MUSICA VIVAさんと、まいの皆さんが、笑顔で聴いて下さったのが印象的。
歌い終え、退場するとESTさんを聴くため、着替えずにそのまま客席へ。
6.《EST》シンガーズ
 アコール《EST》
まず混声で。昨日ステージに乗れなかったメンバーも加えて、パレストリーナとロッティを演奏。ロッティは去年のタリス・スコラーズの栗東公演でのアンコールでも歌っていた曲。8声部に分かれるが、あふみでも歌ってみたい曲。男声は若い団員が多いが、響きは去年より格段に向上。キーマンの入団もあろうが、若い力を引き上げる団としての力量と個人の努力の成果であろう。
女声だけになり、コンクールでの曲を披露。女声も、ヴォーチ・デ・フィンテがだいぶ浸透してきているように聴いた。
再び混声。アリエルから2曲とフィリピンの曲を披露。Pamugunでは、男女関係のあやを表現した振りのパフォーマンスが最高。そして、鴎では、昨年のコンサートのアンコールの「赤とんぼ」に続き、不覚にも涙を・・・。ESTさんの時代はまだしばらく続きそう。
7.モラン女声合唱団 この合唱団の特徴は、6歳から同じ指揮者Faran女史の元で、一貫した発声法・訓練を受けている点。年齢層によって、様々な合唱団として活動。この合唱団は、その最上位の合唱団。力みのない素直な発声は印象的。Faran女史は、知的障害者の合唱団や、パレスチナの合唱団も指導するなど民族愛を超越した、人類愛・平和希求を実践している合唱指導者といえる。手話つきのTO GIVEでは、本当にそのことが音楽で伝わってくる、素晴らしいもの。
アンコールでは、客席に簡単なフレーズを歌わせ、ステージとの一体化を図ったり、コチャールのSalve Reginaを歌える人はステージに上がって一緒に歌いましょう、と呼びかけ、向井先生に指揮を任せるなど、盛り上げ方も上手。このようにして、宝塚の入賞団体演奏会は感動と拍手の渦の中、幕を閉じた。
ロビーでは、雨森先生にご挨拶。なんと関ケ原を挟んで比較的お近くにお住いとの事。お忙しい先生だが、我々にアドバイスいただける日もあるかも・・・。 いよいよ宝塚べガホールとも、お別れ。大塚副委員長はじめ役員の皆さんに見送られながら、ホールを後にする。

清荒神駅の反対ホームには、ESTのAかねさんと、もともとっちさんが。線路越しに別れを惜しむ・・・。 このあと、宝塚駅まで出て、時間調整のため喫茶店でしばし談笑。
そろそろ、と言うときに、なんとさっきべガホールで見送っていただいた大塚さんが、ご来店!。
「なんだ君らまだこんな所にいたのかぁ。」お互いに大爆笑。
JRを乗り継いで家路につく。
電車の中では、講評の話や、これからやるべきことなど、建設的な話をした(ことにしておこう)。 こうして夢のような宝塚での3日間は幕を閉じた。来年も宝塚の地を踏める保証はないが、それを目指して、また頑張ろう、と団結できた。ひとつステップ・アップしたのを実感した。

『ドキュメンタリー・宝塚2002』完
(最後までご覧いただき、お疲れ様でした)



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